よく見かける,”防水IPX5”のような表記.
これだけ見ても,イマイチよく分かりませんよね.
実は,防滴・防水は,国際基準と日本の基準で決まっています.
1分で分かるまとめ
”IP○○”のようなコードで大事なのは,第1記号(防塵性能),第2記号(防水性能)です.
(”IP57”なら,第1記号が”5”,第2記号が”7”.)
この第2記号の数字だけで,防水性能が分かります.
4以下が生活防水で,5以上が完全防水と呼ばれることが多いです.
非防水 | X,0,1,2,3,4,5,6,7,8 |
生活防水 | X,0,1,2,3,4,5,6,7,8 |
防滴 | X,0,1,2,3,4,5,6,7,8 |
完全防水 | X,0,1,2,3,4,5,6,7,8 |
水中使用 | X,0,1,2,3,4,5,6,7,8 |
保護等級の詳しい解説
日本と国際基準の違い
どちらも,ほぼ同一の基準になっています.
- IEC(国際電気標準会議)は,IP規格(International Protection)
- 日本は,JIS規格(日本工業規格)
IEC60529は,JIS C 0920のベースになっています.
そのため,”JIS・IEC混成表記”と呼ばれる,”JIS IPX6”のような,まとめた記載方法も多め.
第一記号(防塵性能)の表記
IP保護等級の第1特性数字は,”人体および固形物に対する保護等級”とされています.
等級 | 保護対象 | 主な対象 |
0 | 無保護 | |
1 | 50mm より大きい固形物 |
手(こぶし・拳)が危険部に触れない |
2 | 12.55mm〃 | 指が危険部に触れない |
3 | 2.5mm〃 | 工具・ワイヤ等が内部に侵入しない |
4 | 1.0mm〃 | 〃 |
5 | 防塵形 | 少量の粉塵が内部に侵入しても,正常に動作 |
6 | 耐塵形 | 粉塵が内部に侵入しない |
テストでは,1・2では鋼球,3で鋼棒(φ2.5mm),4以降で針金(φ1.0mm)を使っています.
粉塵は,タルク粉を使っています.
また,等級5は,2つのカテゴリーに分かれています.
- カテゴリー1 : 内部が負圧の状態で粉塵の侵入を防止.
- カテゴリー2 : 内部が負圧にならない状態で粉塵の侵入を防止.
家庭向けの機器の場合は,5以上でないとアピールに使うことは稀です.
第二記号(防水性能)の表記
IP保護等級の第2特性数字は,” 水の浸入に対する保護等級”とされています.
等級 | 種類 | 有害な影響を受けない範囲 | |
0 | 無保護 | ||
1 | 滴下する水に対する保護 | 鉛直に落下する水滴 | 生活防水 |
2 | 15°傾斜したとき落下する水に対する保護 | 正常な取り付け位置より15°以内の範囲で傾斜したとき,鉛直に落下する水滴 | |
3 | 噴霧水に対する保護 | 鉛直から60°以内の噴霧状に落下する水 | |
4 | 飛沫に対する保護 | いかなる方向からの水の飛沫 | |
5 | 噴流水に対する保護 | いかなる方向からの水の直接噴流 | 完全防水 |
6 | 波浪に対する保護 | 波浪または,いかなる方向からの水の強い直接噴流 | |
7 | 水流の浸漬(しんせき)に対する保護 | 規定の圧力,時間で水に浸漬(一時的な水没) | |
8 | 水没に対する保護 | 製造者によって規定される条件にしたがって,連続的に水中に置かれる場合に適する.原則として完全密閉構造である. |
一般的な”IPX7”の場合は,深さ0.15~1mの一時的潜水状態で,30分間沈めています.
また,”IPX8”の場合は,より厳しく設定すれば,条件はメーカーが決めることができます.
実用上は,IPX7規格なら,沈めっぱなしで使用しても問題ないことが多いですが,おすすめ・保証はできません.
その他の記号について
テストをしていない場合に用いる”X”と,オプションの”付加特性文字”があります.
付加特性文字は,”IP24D“のように,末尾に加えて使います.
全部で4種類あり,”危険な部位の接近に対して”人体に対する保護の内容を示します.
A | 拳が危険な部分へ接近しないよう保護されている. |
B | 指での危険な部分への接近に対して保護されている. |
C | 工具での危険な部分への接近に対して保護されている。 |
D | 針金での危険な部分への接近に対して保護されている。 |
第一特性数字との違いですが,より高精度に測定したことを示しています.
また,非常に例外的ですが,更に”H,M,S,W”をSupplementary letterとして加える場合があります.
参考サイト等
- IPXX Codings (wikipedia.org)
- Protection codes IP and IK(Electrical Installation)